バイオトイレ「バイオR21」のバクテリアによる有機物の分解理論
特許第4105563号
植物は、炭酸ガスCO2と水H2Oを光合成して有機物C6H12O6(グルコース)を作ります。この時の副産物が酸素O2です。
この光合成には太陽熱を吸収しております。このグルコースC6H12O6が腐敗したり、動物の餌になって排出されますとバクテリアの働きによって分解されます。すなわち、光合成のときと逆の方程式になります。
空気中の酸素O2を取り入れてグルコースを分解し、これが炭酸ガスCO2と水H2Oになります。この時に吸収されていた太陽熱が発酵熱として放出されます。グルコース1モルは180gでありますが、ここから約700kcalの発酵熱が生じます。
分解といいましても、実はバクテリアの繁殖活動であります。コンポスト化で活躍するバクテリアは好気性の桿状菌(かんじょうきん)で、シュードモナス・プロテゥス・バチルスなどであります。これらの名称はいわゆる「属」でありまして、この中に多くの「種」があります。
バチルス属というのは俗にいう「枯葉菌」で極めて種類が多く、全部で1万種といわれております。好気性バクテリアは呼吸しておりますから酸素を燃やして炭酸ガスを排出し、その摂取する栄養が炭水化物グルコースであるわけです。「バイオR21」は、槽内に最初からバチルス属の好気性バクテリアを投入します。(信州大学農学部産学共同研究による共同開発)
し尿・生ゴミ・廃食油が落下した場合、トイレ内の室内スイッチを押すことにより、槽内のスクリューを回転させ菌床の中心に、し尿・生ゴミ・廃食油を巻き込みます。その後も自動設定(1H、3H、5H、8H)により槽内のスクリューを回転させ空気(酸素)を補給します。油成分まで分解可能なため、悪臭の発生を防ぎます。
バクテリアの活動を助けるためにヒーター(PTC面状発熱体)により熱を補給しますがバクテリアが独自の繁殖を開始しますと、その発酵熱で繁殖が続きます。
し尿の95%、生ゴミ・廃食油の70%は水分です。バクテリアの繁殖につれて処理槽の中心温度は摂氏60℃〜70℃になります。摂氏50℃位から菌床が吸収している水分は蒸発します。残ったし尿・生ゴミ・廃食油の固形部分はバクテリアが酸素を取り入れて、炭酸ガスと水、発酵熱に分解します。
し尿・生ゴミ・廃食油の入った菌床は、100日を経過しますと2次発酵の完了した堆肥として活用する事も出来ます。(2年目以降、1/3まで取り出し可能)この菌床はヒーター熱又発酵熱により、大腸菌・寄生虫等すべて死滅しておりますから、一般の土壌よりも清潔であるということが言えます。通年使用の場合は、有機物がなくてもヒーターの保温により、バクテリアは活動しておりますが、冬期間若しくは一時期使用しない場合に電源を切ると、外的環境の変化に耐えられないバクテリアは死滅してしまいます。
バイオR21は好気性のバチルス属を主体としていますので、外的環境が変化した場合、胞子となり(姿を変え)身を守ります。そして、環境が戻ると復活し繁殖活動を始めます。
このように、環境の変化に強い好気性のバクテリアの開発(特許)により、 微生物処理の能力を高め悪臭や汚泥の発生を防ぎます。その結果、基本的に菌床の入替作業がなくなるという、バイオトイレの仕組みとしては、画期的な商品になりました。
*電源を切る場合は水分を充分に飛ばしてから切るようにして下さい。(凍結等)